住棟が違えば規約も管理費も違う

いくつもの住棟で構成されている大型団地のマンションでは、同じ敷地内で同時に分譲されたものであっても、住棟の条件が異なれば管理規約および管理費・修繕積立金なども違って当然である。

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例えば同一敷地内に、エレベーター付きとエレベーターが付いていない二棟のマンションがある場合、次のようになる。まず、敷地内全体をカバーした内容など両棟に共通した「団地管理規約」を設定しヽ次に各棟の個別条件に応じた「住棟に関する規約」を決めるのである・管理費や修繕積立金についても、まず敷地内全体に関係するものを算定する。これは両棟とも同じだ。次に住棟ごとに決めて、それに上乗せするのである。したがって、エレベーター付きのほうが管理費や修繕積立金は高くなる。
こうした考え方はかなり浸透してきているようだが、古いマンションなどでは、条件が異なる住棟でありながら同一規約、同一金額にしているケースがある。また、最近分譲しているものでも、必ずしもこの考え方で行うことが強制されているわけではないので、あえて同一にしているケースもあるから要注意だ。
実際にエレベーター付きの高層棟と付いていない低層棟の二棟がある団地で、規約が同一のケースがあった。おまけに高層棟には管理員室があり、管理員も常駐だった。別々に管理費等を設定すると高層棟が高くなり過ぎて、購入者が購入を敬遠するのではないかと分譲会社が危惧したためだ。

後日、管理費等を多く取られていると気づいた低層棟の居住者が管理組合に対して注文を付けたものの、管理規約を改定するのに相当苦労したという。区分所有法の定めにより、規約を改正するためには四分の三以上の賛成を得なければならないことになっているのに、低層棟のほうが居住者が少なかったからである。
こんなことにならないように、十分な注意が必要だ。


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管理会社の倒産から管理費を守る

居住者から集めた管理費や修繕積立金はマンションの規模にもよるが、総額で百万円単位、一千万円単位、ときには億単位になることも珍しくない。そのため、大金に心を動かされて使い込み、持ち逃げといった不祥事がしばしば起きる。

そんなことから、個人に大金を持たせると危険、ということで管理会社にそっくり預けているケースがある。また、多くの管理組合では日常の管理業務と会計業務を一括して管理会社に任せているので、お金の出し入れなどの面で管理費も預けておいたほうが何かと便利ということもあるだろう。なかには管理費の振込口座そのものを管理会社名義にしてしまっているケースもある。
しかし、管理会社にお金を預けるのは最も危険だ。横領など発生しなくても、景気低迷が長引くと倒産ということも考えられるのだ。その管理会社が大丈夫でも親会社である不動産会社や建設会社などの経営が破綻し、連鎖倒産することもある。現実に管理会社が倒産して裁判所で争ったものの、管理費だけでなく、長年積み立ててきた修繕積立金も返ってこなかったという事件が発生しているのである。

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 現段階で最善といわれている方法は、管理組合理事長名義の銀行口座をつくって、そこに管理費や修繕積立金を振り込むようにしておくこと。そのうえで印鑑は理事長が保管し、通帳は会計担当理事が保管するというように分担することだ。また、間違ってもキャッシュカードはつくらないこと。そうしたからといって百パーセント安全とはいえないが、犯罪が起きないように少々面倒でも念入りにガードを設けておくことである。


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管理会社も情報開示の時代へ

これらの事例を見てくると、管理会社に支払う管理委託費の不明瞭さがますます明らかになってくる。この点については監督官庁である建設省でも重く受け止めているようだ。
建設省では二〇〇〇年(平12)三月三十日付けで「登録管理業者の情報開示について」という通達を出している。

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建設省建設経済局不動産業課の課長から管理業者に宛てたものだ。目的は管理会社に管理業務や委託費の内訳などの情報を開示させることで、管理組合が委託先を選ぶときの判断材料となるようにすることにある。さらに、それによって管理会社間の競争を促して管理サービスの向上を図ろうというのだ。

開示する内容は大きく次の五項目で構成されている。
(1)管理委託業務のサービス水準および対価
イ.管理委託費の客観化のための見積依頼方式の実施
口.管理委託費の実勢価格の公表
(2)管理業者の財務内容の公表
(3)主要株主または主要出資者の氏名の公表
(4)長期修繕計画作成等の対応
(5)管理費等の収納・保管の状況

つまり、管理サービスの内容に対して委託費が適正かどうか、他の管理会社はどのくらいの委託費で業務を行っているのか、管理会社の経営状態は健全といえるのか、親会社はどこなのか、長期修繕計画の作成能力はあるのか、居住者から徴収する管理費や修繕積立金などをどのように保管するのか、などを明示させようというのだ。
開示の方法は、(社)高層住宅管理業協会のインターネットーホームページ「マンション管理会社要覧」で閲覧できるようにしている(建設省のホームページともリンクしている)。
管理会社の情報公開が義務づけられたのは一歩前進といえるが、対象となるのは、建設省が制定したあって、登録簿に登録している管理会社に限られる。したがって登録していない業者は公開する必要はない。
管理会社を選ぶ際には情報公開を行っている会社を選ぶようにしたい。


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事例にみる賢い管理方法

むろん、すべての管理会社がこのように悪質なわけではない。だが、居住者が管理に対して無関心で監視を怠っていると、常に起こり得る危険性をはらんでいるのである。
まず、委託している管理会社は、区分所有者の意向で変更できることを知ってほしい。分譲会社が指定した管理会社だからといって、未来永劫にわたって委託する必要はないのである。
また、管理会社に業務を依頼する場合でも、一括して頼まずに、窓口業務だけ、清掃業務だけというように、分割して依頼する方法もある。
各管理組合ではどのようにして管理費や修繕費を抑えているのかを、いくつかの具体的な事例を挙げて紹介していくことにしよう。

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▼ケース1 管理コンサルティング会社に依頼する
次の事例は、コンサルティング会社のA社に依頼して、現行の管理体制を見直して管理費を引き下げたケースだ。このA社は、居住者の側に立って管理業務の評価や見直しをビジネスと
して行っている。したがって、A社にコンサルティングを依頼した場合、依頼主である管理組合は弁護士や税理士などに報酬を支払うのと同じように、依頼内容や成果に応じて所定の料金を支払う必要がある。
例えば管理体制の見直しを依頼した場合は、サポート料は管理委託料の引き下げ額の五〇%(ただし、一年間のみ)ヽ新管理体制へ移行した後も運営サポートを依頼した場合は、新委託料の七~九%と設定している。
A社が手がけた実例でいうと、あるマンションではそれまで年間二七四二万五四七八円の管理費支出があったが、コンサルティングを依頼したことで、同社に支払うサポート料を含めても四一八万二四一八円の負担を軽減している。それにもかかわらず管理仕様のグレードはアップさせた。
清掃業務では日常清掃と定期清掃の内容を変えずに費用を削減する一方で、特別清掃費を計上して、共用部分にある照明器具や高所部分の清掃を定期的に行うとともに、各住戸内のキッチンの換気扇清掃を行うことにしている。また、各種トラブルに対処するために顧問弁護士を付けた。
なぜ、このようなことができたかというと、管理会社に一括していた業務を、それぞれの専門業者に分散させたからだ。A社のモットーは「一括管理から分散管理へ」だ。管理業務を一括して依頼したほうが、セット料金となって安上がりになると思いがちだが、現状はむしろ間接費用がかかるケースが多い。例えば消防設備やエレベーターの点検業務なら、管理会社に一括委託しているのを、それぞれの専門業者に分散するだけでもずいぶんムダが省けるという。
不可解なケースもあります。管理会社から管理組合に提出される費用項目は「管理委託費」というただの一項目のみ。内容は一切明らかにされていない。それなのに管理組合では築十七年に至るまで、いわれるままに年間六六八万九四〇〇円を支払っていたという。
A社では現状の管理仕様のまま、管理会社を変更した場合と、管理会社を代えずに管理仕様を効率化した場合の、複数の案を管理組合に提出した。管理会社を変更した場合年間およそ十三二万円の節減になると算出された。

▼ケース2 管理組合が管理会社をリードする
地下鉄・東西線沿線にあるTマンションでは、管理業務を管理会社に一括して委託している。しかし、管理組合が強力なりリーダーシップを取って管理会社をリードしているので、一般のマンションとは管理の中身が相当違う。管理費や修繕費の予算案・決算書などはすべて管理組合で作成するのをはじめ、自分たちの力で管理収入を増やす工夫を行っているのである。
七九年(昭54)の新築当時、駐車場の収容台数は総戸数一一九戸に対して九台にすぎなかった。利用できない居住者は外部の駐車場を借りることになる。しかし、それではこのマンショ
ンに入るはずの資金が毎月流出することになってしまう。
そこで敷地内の小公園を転用するなどして徐々に収容台数を増やし、いまは三〇台の専用駐車場を確保している。おかげで年間九〇〇万円余りの駐車場収入がある。このほかエントラン
スに公衆電話や自動販売機を設置したり、自治体のリサイクル運動に参加するなどして、僅少だが管理収入の一部に充てている。
「時が経てば建物は傷み、補修・修繕費用はかさむことになります。一方で、居住者は高齢化し、定年を迎えたりして収入は減少していく。その対応策のひとつが駐車場の増設だったのです」同管理組合の理事長はそう話している。

▼ケース3 自主管理に徹する
JR中央線沿線にあるKマンションでは、およそ三十年にわたって管理会社に委託しないで管理組合自らが業務に当たっている。建設省が標準管理規約(後述)を作成する前から、居住者同士で知恵を絞って自前の規約を作成。管理員も管理組合で雇用している。
自主管理を貫いている理由は実に単純明快だ。
「管理会社に頼むとヽ直接業務をやってくれる管理員はいいんだけどヽその上にいる課長や部長の給料も払ってやらないといけない。清掃ひとつとってもピンハネされて高くついてしまうからね。仮に管理会社に委託すると、いま居住者から集めている管理費を二~三割上乗せしないといけなくなるんじゃないかな」元理事長はそういって笑う。
一戸当たりの管理費は月額九五〇〇円、修繕積立金が五〇〇〇円、特別修繕積立金が七五〇〇円で、しめて二万二〇〇〇円。この予算で、これまでに外壁の塗り替え、屋上防水の張り替え、給水管の全面取り替えなどを実施してきた。それでも管理費約六五〇万円、修繕積立金約三〇〇〇万円がプールされている。
自主管理は究極の管理費削減の決め手といえるが、「運が良かったんだ。熱心で能力のある人がたまたま居住者のなかにいたからできたんで、そうじゃないと自主管理なんてできないよ」と元理事長は話した。


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系列管理の悪弊

マンション管理の目的は「マンションという共有の財産を保守し、ときには高める」ことである。したがって、「マンション管理とは何か?」と問われてひとことで答えるなら、。財産管理″となる。
大切な財産を守る代表的な方法は、管理会社にすべてを任せる「全部委託管理」と、居住者がすべて自分たちで行う「自主管理」の二つがある。そして両者の中間に、業務の一部を管理会社に依頼する「一部委託管理」や、管理会社に頼まないで管理人を自分たちで雇用する「管理人雇用」などが位置している。
このなかで大多数を占めているのが、管理会社に委託する方法だ。全部委託管理と一部委託管理を合計すると、八四・七%ものマンションが何らかの形で管理会社に頼っているのである。

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では、どのようにして管理会社を選んでいるのかを見てみると、九割近くが「分譲時に分譲会社が指定した管理会社」と答えているのだ。日本では分譲会社の多くが系列に管理会社を持っているので、大半が系列の管理会社に委託しているものと思われる。八〇年代半ばから独立系の管理会社が台頭してきているが、全体から見るとまだまだ少数派だ。
したがって、系列の管理会社は営業活動を行わなくても、親会社がマンションを供給し続ける限り、取り扱い件数は着実に増えていくという構造になっている。そのため他業種のような競争原理がはたらかない面があり、「だれのための管理か?」「居住者よりも親会社に顔を向けて管理業務を行っているのではないか?」と疑問を投げかける声が根強い。
仮に購入したマンションに手抜き工事による急激な劣化が発生していても、建物の維持管理を行っているのが分譲会社の子会社だった場合、その事実を隠蔽しようとする傾向がある。

東京郊外にある築八年目を迎えるマンションでのことだ。そのマンションでは、築四年目にひとつの住戸で和室の天井が腐って落ち、六年目に最上階の住戸で一戸を除いていっせいに雨が漏ったというのである。天井が落ちた家庭には幼児かおり、たまたま別室にいたからよかったものの、あわや大惨事が起きるところだった。このほかにも小さな漏水などの問題は発生していたようだが、これらの事実が明るみに出たのは築八年目に入ってからだった。

なぜ、これだけの事故が発生しているのに表而化しなかったかというと、管理組合がほとんど機能していなかったことが最大の理由だが、管理会社が意図的に隠そうとした節かおる。事故に見舞われた際には真っ先に管理組合の理事会などに報告すべきなのだが、各住戸の居住者は個別に管理会社に連絡して修理を依頼していたのだ。修理の依頼を受けた管理会社でも、補修費用を居住者が毎月納めている管理費や修繕砧立金から拠出していたのに、理事会に工事の実施状況を詳細に報告していなかったという。

だれも何もいわなければこのままウヤムヤにされていたかもしれない。ところが、普段からうすうす「おかしい」と思っていた居住者のひとりに、たまたま理事長の順番がまわってきたのをきっかけに明らかになったのである・新理事長は、とにかく実態を把握しようと全戸にアンケート調査を行ったところ、天井の落下事故があったことや、三度も漏水事故に見舞われた住戸があったことが初めて分かったというのだ。
そこで管理会社に対して善処を求めたところ、「経年変化による劣化のせいだ」と主張するばかり。親会社の分譲会社にも伝えてほしいと理事長は言い張ったが、「分譲会社ではアフターサービス期間が過ぎているので対応できないと言っている」と代弁し、交渉に応じようとしない。
困り果てた理事長は、マンションの劣化診断を行っている団体に相談し、まずは目視による調査報告書を作成してもらう。そのうえで場当たり的な対応しかしない管理会社を通さず、ダイレクトに分譲会社に善処を要請したところ、専門家の意見を伝えたこともあり、ようやく交渉のテーブルについたというのだ。

ちなみにこの分譲会社は比較的知名度が高く、供給戸数でも毎年ベスト十位以内に必ず顔を出している企業である。くだんの理事長もそのブランドを信用して購入し、何か問題があれば対処してもらえると信じ込んでいたという。
これではだれのための管理業務なのか、何のために専門家集団としての管理会社が存在しているのか、ということになってしまうのである。


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不明瞭な管理委託費

管理費用を四割近くも引き下げた実例を目の当たりにすると、いま住んでいる、あるいはこれから購入しようとしているマンションの管理費に疑問を覚えてしまう人もいるかもしれない。

実際に管理業務内容や管理費などを調べてみると、曖昧模糊とした点が実に多い。
資産デフレの時代とはいっても管理費は株や不動産とは異なるし、パソコンのように技術開発や大量生産によってコストを大幅にダウンできる業種でもない。では、管理会社に支払う管理委託費はどうかというと、はっきりしたデータがないので推定になるが、関係者への取材からすると、けっして下がってはいないようだ。九一年(平3)以降が集計されていないが、それ以前まではおおむね年々上がっているのである。
では、その不足分をどのように調達しているのかというと、駐車場料金や修繕積立金という名目で徴収しているのが実態だ。管理費以外の徴収金額は、年々引き上げられているのである。

つまり、「管理費」という名目で徴収すると居住者から苦情が出るかもしれないが、駐車場使用料や修繕積立金といった名目なら見逃してもらえるとでも考えているのだろうか。確かに駐車料としてなら、周辺相場と比較したといえばそれほど高い印象を与えずにすむのかもしれない。修繕積立金にしても、マンションの老朽化が社会問題になっている折、「建物の資産を守るため」といえば理解が得やすい面はある。
また、徴収される名目が異なっても収まるサイフが同じなのだから、それでよしとする考え方もできなくはない。しかし、毎月確実に管理組合に入る管理費とは違って、駐車場収入は短
期的には空きが生じることがあって一定ではない。本来、駐車場収入は管理費とは別会計にして、五年後、十年後に支出する工事費用などに充てるようにすべきであり、管理会社に毎月支払う委託料などに充当するのは危険だ。
駐車場収入に依存して赤字を計上するケースは、田辺が暮らしているマンションだけでない。

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 特に機械式駐車場では、一基当たり月一万円前後の維持管理費が必要といわれている。コストがかからない平面駐車場と違って、空きが出るとそのまま支出になってしまう。
機械式では普通車専用のものが多く、アウトドア用の大型車などになると利用したくてもできないこともある。さらに、高齢化が進むにつれて車を手放す世帯も出てくることが考えられるので、駐車場収入にあまり大きく依存するのは避けるべきだろう。


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管理費は安くできる

マンション購入者が買おうと思う物件を、ある程度絞り込んで次に気になるのは、購入に伴う資金負担である。この資金負担には毎月返済する住宅ローンのほかに管理費と修繕積立金、さらにマイカーを持っている人は専用駐車場の使用料がある。
「これだけ払っても無理のない生活ができるだろうか?」と電卓を弾きながら最後の詰めに入るのである。
このあたりは分譲会社も先刻承知だ。そこで管理費、修繕積立金、駐車場使用料をできるだけ安く抑えようとする。いや、正しくは、なるべく安く見せようとする、といったほうがいいかもしれない。

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 以下は、関係者に迷惑がかかるので名称や金額は多少変えてあるが、実際にあった話だ。

「意外に安いね」
会社の同僚からそういわれたとき、Tさんは確かに安いと思った。
Tさんが住んでいるマンションは首都圏の人気物件。常時フロントマンがいて、居住者の伝言や宅配便の預かりなどを代行してくれる。洗濯物を出しておけばクリーニング店に渡してもらえ、期日には糊のきいたワイシャツを受け取ることができる。棟内清掃も休日と第一、第三土曜日を除いて毎日行われ、ゴミが落ちていて不快な気分になったことはない。ホテル並みとはいかないまでも、快適なマンションーライフだと思う。
それでいて月々の管理費はおよそ一万六〇〇〇円。専有面積一㎡当たりに換算すると二〇〇円前後だ(これは首都圏に建っている民間分譲マンションのほぼ平均値に相当する)。
ところが、入居して二年目に入って思いがけない問題にぶち当たってしまう。居住者(区分所有者)でつくる管理組合の総会の席上で、理事会から管理費の値上げが提案されたのである。
なぜ、わずか一年で値上げが必要なのか。議論は紛糾した。 値上げの理由は収入見通しの甘さだった。管理組合の収入内訳を見ると、半分は居住者から徴収する管理費だが、残りの大半は駐車場の使用料で占められている。使用料は一万五〇〇〇円。予算案では居住世帯全員が使用することを前提にしていたが、実際は約二割の世帯が利用
を見合わせた。その赤字分を管理費の引き上げで乗り切ろうというのが、管理会社から要請を受けた理事会の提案だった。
円滑な管理業務を遂行するためには多種多様の費用が発生するが、このなかで大多数を占めているのが管理会社に支払う管理委託費だ。Tさんが住むマンションでは全支出の七割近い。
「管理業務のすべてを管理会社に任せるのではなくて、いくらかでも住民が分担することで管理費の引き上げを抑えられないか」
総会の席上でこう発言すると、多くの賛同者が現れ、結果的にTさんは二代目理事長を引き受けることになった。
理事長にはなったものの、マンション管理についてほとんど知識はない。そこで専門家からのアドバイスを適時受けられるように、首都圏エリアにあるマンションの管理組合が集まって
つくっている連絡会に加入した。
アドバイスはこうだった。
「管理会社はまさにマンション管理の専門家集団。住民がお題目のように『もっと安くならないか』と繰り返しても、説得力ある材料を提示しないとノラリクラリとかわされるばかり。管理会社が提示してくる委託管理料の費用項目をひとつひとつ調べ上げて、他の管理会社はいくらで行っているなど具体的なデータを蓄積することが必要だ」
そこで管理組合理事会では手分けして周辺のマンションの管理組合を訪ねて、どのくらいの委託費で契約しているのかを、また清掃業者やエレベーター会社などに問い合わせて費用の相場を精力的に調べた。
集めた資料を携えて行った交渉の成果は、予想をはるかに上回るものだった。従前の管理委託費は月額二四〇万円だったが、九〇万円減の一五〇万円で再契約を結ぶことになった。年間で1000万円の支出を削減することになり、おかげで居住者から毎月徴収している管理費は引き上げるどころか、一戸当たり平均で年額九万円近くの負担減を実現できた。
経費削減に伴って清掃は週五・五回から五回に、エレベーターの保守点検は消耗品などの諸経費もセットになっているブルーメンテナンス契約から、そのつど実費清算する契約に変更するなど、管理業務の内容は少しずつ異なっている。
また、理事会や総会の運営業務には、管理会社から担当者が常時出席して書類の作成などを行っていたが、これもカット。居住者の自主性を重視して、必要なときにだけ出席を求めるようにした。それがそのまま事務管理業務費、清掃業務費、保守点検費、一般管理費、管理報酬などの経費削減に結びついたのである。
管理費は下げることができるのである。

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近未来のマンション像「スケルトン」

長寿命を可能にするマンションの近未来像で、もっとも明確なイメージとして考えられているのが、SI住宅である。私は九八年(平10)に、ある調査月報誌に次のような文章を書いた。当時はまだ一般にスケルトンーインフィルという言葉が知られていないこともあり、門外漢にも分かるような表現方法はないかと考え、SFタッチで描いてみた。

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〈二〇一〇年夏。N氏は十五階建てのマンションに暮らしているが、ここに住み始めてからマンション”という呼称にやや違和感を覚えるようになった。かつて玄関ポーチが付いているなど二戸建て感覚”のマンションがもてはやされた時代があったが、いま暮らしているのはさしずめ「空中に浮かぶ注文住宅」という趣である。
旧来のマンションはフリープランといっても台所や浴室など水まわり関係の位置は固定されているケースが大半だった。ところが、このマンションでは自分が専有しているユニット内ならどこに配置してもよい。開口部の大きさや位置にしても、構造体の制約や住民でつくるデザインコードに抵触しなければ基本的に自由だ(玄関の位置も変えられる)。
さらに取得したユニットはすぐに使用する必要はない。そっくり空き家(空き地?)のままにしておくことも可能だ。実際、N氏は取得してから三年間は空き家にしていたし、いまもユニットの三分の一は未使用のまま。居室を広げるまでの間、土を入れてガーデニングとしゃれてみようかと考えている。

 

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 これだけの自由度が確保されている建物を従来のイメージがつきまとうマンション”という名称で呼ぶわけにはいかないのである。N氏は引き出しから販売当時のパンフレットを取り出した。
「五十年の利用権付きSI住宅」とあり、右隅に小さく「SIはスケルトンーインフィルの頭文字」と記されていた〉
では、購入者が買うスケルトンとはどんな格好をしているのだろうか。私は当初、てっきりニューヨークで分譲されているコンクリートの壁や床、柱が剥き出しになっている状態のものをイメージしていたのだが、SI住宅の技術開発を行っている建設省総合技術開発プロジェクト(マンション総プロ)の委員長であるT氏に聞くと、「強いていうなら鳥カゴを重ねたような格好をしている」という答えだった。そう聞いて私は、街並みに鳥カゴのような格好をしたスケルトンーマンションが建ち並んでいく様子を想像してみた。
さらにT氏は「スケルトンは街である」とも話した。そこには住宅だけでなく、店舗、ギャラリー、オフィス、劇場などの入居も想定されているという。
スケルトンーマンションには、大空間から小空間までさまざまなサイズに対応できるような骨組み(スケルトン)が要求される。したがって、スケルトンは極力シンプルでなければならない。あちこちに構造耐力上壊すことができない壁があってはならないのだ。
壁は購入者がつくる。だから窓や玄関の位置や大きさも自在である。戦後しばらくは、橋の下に橋脚を利用して二層三層にした掘っ建て小屋を建てて住んでいる人がいたが、あれを美しくしたようなものを想像した。
総プロ委員のM氏は、スケルトンとインフィルを道路と車の関係になぞらえている。道路がスケルトンで、インフィルが自動車だ。道路は堅固で寿命が長くないといけない部分であり、自動車は個人が満足すればいい部分という意味だ。
いま売られているマンションは、専有部分と共用部分に一応分かれている。専有部分は自分のもので、共用部分は居住者(区分所有者)全員の共有物ということになる。例えば界壁や床・天井は共用部分で、その内側が専有部分となる。また、給排水管のうち竪管は共用設備で、横管は専有設備である。
法律上はそんなふうに推定できるのだが、実際に売られているマンションは明確に分かれてないものが大半だ。購入者の持ち物であるはずの電灯の取り付け金具や配線が、共用部分である天井(スラブ)に埋め込まれていたり、コンセントボ。クスや配線が共用部分である界壁に埋め込んであったりする・これでは電灯やコンセントの位置を変えたくても変えるのが難しい。
給排水管もはっきりしない。共用竪管が専有部分であるトイレの中を貫通していたりするのである。

建設省建築研究所のK氏は「スケルトン構造というからには、最低、次のことが必要である」と述べ、三点を挙げている。
・共用設備は共用の場所にあること
・コンクリートにインフィル(電機配線や取付器具など)を埋め込まないこと
・大きな空間を確保できること
つまり、将来、取り替え等が必要になる寿命の短いものはインフィルとし、百年、二百年と長寿命が求められるものはスケルトンとするということだ。このように明確に区分しておけば、あとはスケルトン部分については長寿命化の技術開発をし、インフィル部分については取り替え等の行いやすさに配慮すればいいことになる。


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長寿の基本は「広さ」と「高さ」

長寿命が可能なマンションの条件として、物理的命数では躯体構造の「耐久性」、経済的命数では各部位ごとの寿命に応じて取り替え可能な「互換性」、そして、社会的命数では快適に長く暮らすための基本となる「遮音性」「安全性」「断熱性」について述べてきた。
むろん長寿命の条件はこれだけではない。まだまだあるが、なかでも単純かつ必要不可欠のものとして「広さ」がある。ウサギ小屋と揶揄されるニッポンでは、社会的命数を延ばせるかどうかはやはり広さにかかっているのだ。
一九五〇年代、六〇年代に郷里から出てきた勤労者や学生が暮らしたアパートはどんなふうだったろう。四畳半か六畳ひと間で、台所は共同炊事場か、付いていても半畳あるかどうか、トイレは共同、もちろん風呂はない。結婚して所帯を持つことになっても、せいぜい四〇㎡か五〇㎡あれば十分だった。やはり風呂はなく、洗濯機置き場さえなく、共用外廊下の玄関脇に何とか置いたりしていた。

 

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 いまもそうしたアパートは残っているが、積極的に借りたい、ましてや三〇年以上のローンを組んで買いたいと思う人はいないだろう。住宅としての商品価値を失って、社会的命数が尽きてしまっているのだ。
それでも専門家の診断を受けて「耐久性や耐震性の点で心配なし」と太鼓判を捺され、手に入れて改造したとしたらどうだろう。隣り合う二戸の住戸の壁をぶち抜いてくっつければ八〇㎡以上のマンションの誕生だ。
浴室や洗濯機置き場、居間、寝室ができ、現代の生活に合うスタイルにはなる。しかし、そのような大改造をするには多額の工事費用がかかってしまう。いったいこれだけ費用をかけて、それに見合うだけのメリットを享受できるのだろうか。付け焼き刃の改造では、あとでいろいろな不都合が生じてくるだろう。それならばいっそ取り壊して建て替えたほうが、費用対効果からみて安上がりというものだ。社会的命数を延ばそうにも、その前に経済的命数が尽きてしまっているのである。

 

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 個人的には、台所十浴室十寝室十居間……というように各室の広さを足し算していくと、四人家族であれば最低でも八〇㎡以上は必要だと思う。むろん、一〇〇㎡や一二〇㎡あればもっといい。建設省では一応、目指すべき都市型住宅(マンション)の誘導居住水準を九一㎡以上としているので、九一㎡以上としてもいいだろう。単身者だったら四〇~五〇㎡でも十分かもしれない。


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通風・換気計画にも目を配る

通風・換気の行き届いたプランになっていることも、結露対策には有効だ。また、シックハウス症候群の原因とされる有害物質の発生に対しても、通風・換気は効果的である。特に気密性が高いマンションでは、換気計画の良し悪しは重要である。
古い木造の日本家屋は、屋内の空気は一時間のうちに屋外の新鮮な空気と三回程度入れ替わるといわれた。それだけ隙間風が入り込みやすい気密性の低い家屋だったのである。これに対してマンションなどの鉄筋コンクリート造の建物では、一時間にわずか〇・二五回だという。古い日本家屋の一二倍も気密性が高くなっているのである。

 

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 日本の伝統的な住まいに対する考え方は、徒然草の「夏を旨とすべし」という一節に代表されるように、風通しがよく開放的なものとし、自然と一体となって季節を感じるように計画されていた。気密性を高めるという発想自体がなかった。それで十分快適に暮らせたのだがヽ自動車の普及で排ガスや騒音問題がある現代ではヽ外部環境を遮断して内部の快適さを追求する方向にある。
室内の空気を汚染する主な原因は、①人体から発生する二酸化炭素、②生活に伴って発生する汚染物質、のふたつがある。
このほか屋外からの自動車の排ガスや工場からの煤煙がある。また、最近では住宅建材に使われている塗料や接着剤から発生する有害物質なども社会問題化している。これらのうち量的に最も多く汚染の程度も高いのは、②の生活に伴って発生する汚染物質だ。
生活に伴って発生する汚染物質とは、台所で火を使って魚を焼いたり天ぷらを揚げたりしたときに発生するもので、大量の二酸化炭素、窒素酸化物、油ミスト(霧状の油)などである。

これらを換気しないままにしておくと、ときには酸素不足に陥ってしまう。酸欠状態になると不完全燃焼となって一酸化炭素を大量に発生させ、最悪の場合は人が気づく前に中毒死することもあるから要注意だ。そこまでいかなくても人体に悪影響を及ぼし、頭痛、吐き気、耳なり、めまいなどを引き起こす。細菌なども発生しやすくなり、風邪やアレルギーの原因ともなる。
換気は、汚れた空気の「排気」と新鮮な空気の「吸気」で成り立つ。ただし、ここでいう換気とは、すべての居室の窓を開け放して行うのではなく、必要なだけの換気量を安定的に確保することである。つまり、屋外で強風が吹いていても、そのまま吹き込まないように吸気をコントロールできるようになっているかどうかということだ。
そのためには次の三点について配慮されているかどうかが決め手になる。
①吸気口と排気口の役割が決定されていること
②換気経路が明確になっていること
③リビングや寝室、台所など各室ごとに、給排気の位置や方法に配慮され、部屋全体に新鮮な空気が行き渡るように計画されていること

 

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現代の住宅ではこの三点を実現するために、自然換気と機械換気(強制換気)を組み合わせて行っている。自然換気とは室内外の温度差や風を利用したもので、主に居間や寝室などで行われている。機械換気とは換気扇などの機械を使用したもので、主に台所、トイレ、浴室などで行われている。
ただ、これらを実現するために、ふたつの換気方法を組み合わせても、現状のマンションでは困難な面がある。四方に開口部を設けることができる一戸建てなら比較的簡単にできるが、多くのマンションは開口部が玄関側とバルコニー側の二方向に限られているからである。
例えば台所では、レンジフードによって排気口は確保されているが、吸気口が付いていない場合が多い。そのためレンジフードを回すと、台所に隣接した居間の換気スリーブが唸るような音をたてて外の空気を吸い込もうとする。しかし、それだけでは十分な吸気ができないので窓を開けることになり、せっかく暖めた空気が逃げてしまうことになる。
吸気が不十分だと排気力も弱まり、魚などを焼くと住戸内全体に煙と臭いが立ち込めることになる。一戸建てのように台所が外気に面していれば、レンジの傍に吸気専用の小窓を付けることができるので、そうしたことにはならない。
だが、マンションでもライトコートを設けたりして、台所、浴室、トイレが外気に面するような工夫をこらしているものもある。また、外気に面していなくても、台所にダクトを通して吸気囗を設けている場合もある。
吸気と排気に配慮したマンションが今後多く計画・分譲されることを強く望みたい。


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